「ネットワークビジネス」と聞いて「ネズミ講」をイメージする人は多いのではないでしょうか?
多くの人がこの2つを混同し、ネットワークビジネスに対する偏見を持っているようです。
この記事では、ネットワークビジネスとネズミ講の基本的な違いや合法性を判断する基準、誘われた際の適切な対応方法まで、解説していきます。
これからビジネスに誘われることもあるかもしれません。そのため、違いをよく理解し、誤ったことをしないためにも役立てください。
3分でわかるネットワークビジネスとネズミ講の基本理解

ネットワークビジネスとネズミ講の基本的な理解を深め、インターネット上でよく見るこの言葉について、正しい知識を身につけましょう。
ネットワークビジネスとは?
ネットワークビジネスはMLM(マルチ・レベル・マーケティング)やマルチ商法とも呼ばれます。
商品やサービスを消費者に直接販売するビジネスモデルです。
ネットワークビジネスは特定商取引法第33条「連鎖販売取引」として規定されています。
特徴は会員が新しい会員を勧誘し、その販売成果から報酬を得ることです。
例えば、ある人が商品を販売すると同時に、新しい会員を勧誘します。
その新しい会員が商品を販売した場合、勧誘した人もその成果に応じて報酬を受け取ります。
報酬プランは各企業により異なりますが、ネットワークビジネスは最初に紹介した人が常に報酬を得られるわけではなく、紹介出来る人数に制限があったり、報酬額に限度が設定されていたりします。
製品の宣伝と販売ネットワークの拡大を同時に行うことができるため、多くの企業に採用されています。
ネズミ講とは?
ネズミ講は無限連鎖講(むげんれんさこう)とも呼ばれています。
販売員が新しい販売員を勧誘し、その成果から配当を受け取るシステムです。
一見、ネットワークビジネスと同じような気がします。
問題点は、提供される商品やサービスがないことです。ネズミ講は価値よりも、新たな参加者の勧誘に重点を置いています。勧誘する人数に制限はなく、常に上位にいる少数の人だけが大きな利益を享受し、多くの参加者が損をする構造です。

ネットワークビジネスとネズミ講の違い
ネットワークビジネスとネズミ講は、会員を勧誘する点では同じです。
実際には大きな違いがあります。それぞれのビジネスモデルの特徴と、法律上の位置づけについて見ていきましょう。
ネットワークビジネスとねずみ講の明確な区別
ネットワークビジネスは、商品やサービスの価値があります。実際に価値のある商品やサービスが販売され、消費者のニーズを満たすことが目的です。
一方、ネズミ講では、商品やサービスよりも新たな参加者の勧誘に重点が置かれ、最終的には参加者が損をする構造になっています。
それぞれの違いを以下の表にまとめました。
ネットワークビジネス | ネズミ講 | |
---|---|---|
合法性 | 合法 | 違法 |
商品・サービス | あり | なし |
収入構造 | 製品販売による報酬、上限あり | 新規会員の出資金配分、無限 |
規制 | 特定商取引法規制あり | 規制外 |
勧誘方法 | 適正な勧誘 | 悪質な勧誘の可能性 |
表で示した通り、ネットワークビジネスとネズミ講は根本的に異なる仕組みです。
ネズミ講は何が違法?
ネズミ講は違法な出資金詐欺です。
主な特徴は
- 商品がない
- 報酬が上位のみのピラミッド構造
- 悪質な勧誘行為
の3つです。
- 商品がない
- ネズミ講には商品やサービスがなく、金品の動きのみが目的となっています。会費を払う対価が何もないため、出資金詐欺に該当します。
このような商品のない仕組みは違法であり、罰則の対象となります。騙されてはいけません。
- 報酬が上位のみのピラミッド構造
- ネズミ講では、上位の会員ほど多くの収入を得られる仕組みになっています。このピラミッド型の構造が特徴です。新規会員から集めた会費の一部を、上位会員に分配金として支払います。
しかし、人口は有限なため、いずれピラミッドが崩壊します。後半に加入した会員は、必ず損失を被ることになります。
- 悪質な勧誘行為
- ネズミ講では、家族や友人に対する過剰な勧誘が行われます。断っても執拗に勧誘を続け、人間関係の悪化をまねくケースも多くあります。
不当な勧誘や強要があれば、警察や消費生活センターに相談しましょう。被害に遭わないためにも、決して加入してはいけません。
ネットワークビジネスの具体的な合法性の判断基準
ネットワークビジネスが合法かどうかを判断する基準は、
- 商品・サービスの販売が前提
- 収入構造の違い
- 法的な規制
の3つです。
- 商品・サービスの販売が前提
- ネットワークビジネスでは、実在する商品やサービスの販売が前提となっています。化粧品、健康食品、家電製品など、様々な分野の製品です。会員は自らが良いと思えるものを紹介し、販売することで収入を得ます。
- 収入構造の違い
- ネットワークビジネスの収入は、自身の販売実績と自らが紹介した人の販売実績によって決まります。紹介した人の収入が上がれば、自身の収入にも還元されるシステムです。しかし、収入の範囲には法的な上限が設けられています。
- 法的な規制
- ネットワークビジネスは、特定商取引に関する法律の規制を受けています。この法律により、以下のようなルールが定められています。
契約前の概要書面交付義務
契約後の契約書面交付義務
広告表示の規制
禁止行為の規制
詳しい内容は以下のサイトに表示されているのでご覧ください。
https://www.no-trouble.caa.go.jp/what/multilevelmarketing
ネズミ講に誘われた場合の適切な対応
もしネズミ講に誘われた場合、「やりません」とキッパリ断りましょう。
理由を聞かれても「やりません」を通すべきです。理由などを考えて、言いたくなるとは思いますが、勧誘者はできない理由をもとに、話を進めていくので、「やりません」の一点張りでいきましょう。
キッパリ断るのが賢明です。

よくある質問(FAQ)
ネットワークビジネスとネズミ講についての理解を深めるために、よくある質問に答えます。
ネットワークビジネス参加時のよくある誤解
簡単に大金を稼げることです。実際には期待するほどの収入を得られません。ネットワークビジネスで儲けているのは、ごく一部の人間です。
そのため、ネットワークビジネスへの参加はオススメできません。
もし参加される場合は、商品やサービスを理解し、過度な期待をせずに、自身ができる範囲での目標設定が重要です。
ネズミ講についての誤った常識
ネズミ講に関する一般的な誤解は、初期に参加すれば、利益を得られることです。初期段階であっても、新たな参加者の勧誘が停滞すれば、システムは崩壊し、投資した金額を失うリスクがあります。

まとめ
いかがだったでしょうか?
ネットワークビジネスとネズミ講は、似ているように見えますが、その本質は全く異なるものです。
ネットワークビジネスは商品やサービスがあり、消費者が保護される仕組みがあります。
一方、ネズミ講は商品やサービスの実態はなく、お金だけのやりとりで違法な行為であり、絶対に関わるべきではありません。
もし勧誘された場合、「やらない」としっかりと意思表示をしましょう。
これから、様々な人と出会うなかでビジネスに誘われることもあるでしょう。そのビジネスが合法であり、かつ自身にとって有益かどうか、この記事のことを思い出していただければ幸いです。